片頭痛

疫学調査によると、日本人の約8%が片頭痛に悩まされているといわれ、男性よりも女性に多くみられます。たいていの場合、10〜20歳代ではじめてあらわれ、その後、いわゆる「頭痛持ち」に移行します。
片頭痛の場合、痛みは数時間から、長い場合は数日間続きます。片頭痛の名のとおり、頭の片側のこめかみから目にかけてのあたりが痛むことが多いのですが、頭の両側や後頭部が痛むケースもみられます。
女性の場合、月経の前後で女性ホルモンが変動する時期によく起こるといわれています。

片頭痛の症状には
、次のような特徴があります。

「ズキンズキン」あるいは「ガンガン」と脈打つような激しい痛みが続く
頭痛の起こる回数は、月に1〜2回程度から、多いときには週に1〜2回程度まで
痛みは1〜2時間でピークに達し、吐き気や嘔吐を伴うケースが多い
痛みにために動くこともできず、寝込んでしまうことも
痛みの発作中に、姿勢を変えたり、頭を傾けたりするだけでも痛みが強くなる
音や光に対して過敏になり、ふだんは気にならない程度のまぶしさ、テレビの音や話し声などがうるさく感じられることも多い
明るい場所にいたり、周りがうるさいときにも痛みが増す

片頭痛には、「前兆のある片頭痛」「前兆のない片頭痛」の2タイプに分けられ、前兆のある方は20〜30%といわれています。
前兆のある片頭痛では、頭痛が起こる前に、いくつかの前ぶれがみられます。目の前にチカチカと光るフラッシュのようなものがあらわれ、視野の片側、または中心部が見えにくくなる閃輝暗点(せんきあんてん)が生じることが多いのですが、手足のしびれや脱力感、言語障害がみられる場合もあります。このような前兆は数分、長くても1時間以内で治まり、続いて頭痛が始まります。

閃輝暗点とは?
はじめは視野の中にチカチカ光る小さな点が現れ、次第に大きくなっていきます。場合によっては視野の片側がまったく見えなくなったり、中心部がぼやけて見えにくくなったりします。










誘因は?
過労や睡眠不足、精神的ストレ
ハードな仕事をがんばってやり終えたとき、大きな悩みから解放されたときなど、緊張がとけてほっとしたとたん、それまで抑えていたストレスが一気に噴き出して頭痛がはじまるというパターンが多いようです。これは、ストレスのかかっている最中には緊張によって収縮していた血管が、リラックスすることによって拡がるためと考えられます。実際、ウィークデーはなんでもないのに、せっかくの休日、朝から片頭痛に悩まされるという人は少なくありません。このようなケースは「週末片頭痛」とも呼ばれています。

月経、妊娠、出産などによる女性ホルモンの分泌バランスの変化
片頭痛は女性ホルモンの分泌量の変動と関係があるといわれ、生理のはじまる1〜2日前や、生理中(特に生理が始まって2〜3日の間)によく起こります。逆に生理がなくなり女性ホルモンが安定する妊娠中、片頭痛は一時的に治まることが多いのですが、出産後はまた始まります。閉経すると一般的に片頭痛は軽快します。
経口避妊薬(ピル)を服用した場合には片頭痛が軽くなった、回数が減ったという方も多いです。

家族歴
家族や親族の中にも同じような頭痛持ちの人がいることが多く、その点から遺伝的体質との関係も考えられます。特に母親が片頭痛の場合、娘が片頭痛になる確率が高いことが知られています。

特定の食べ物
人によっては、アルコールやチョコレート、あるいは食品の防腐剤として使われている亜硝酸塩、グルタミン酸などの添加物によっても片頭痛が誘発されるといわれていますが、これらの食物が直接影響しているかどうかは疑問視されています。食べた時の状況に関係がある場合も考えられますが、いくつかの誘因が重なった場合に発作が起きることもよくあります。頭痛ダイアリーなどで細かく観察し、自分にとっての誘因はなんであるかをチェックしてみましょう。ただし、あまり神経質になり過ぎないようにしてください。

空腹
ダイエット中であったり、朝食を食べないで学校や会社へ行くと、血糖値が下がるため頭痛が起こることがあります。

人込みや騒音、まぶしい光
デパートなど人の集まる場所に出かけると、頭痛が起こる場合がよくあります。この場合、人込み、騒音、まぶしい光、ストレスあるいは香水のにおいなどによって頭痛が誘発されていると考えられます。
また、旅行へ行くと頭痛が起こるという話もよく聞きます。旅行には、車酔い、早起き(寝不足)、不規則な食事、疲労、ホテルの部屋の乾燥、ストレス、ストレスからの解放など、頭痛に関連する実に多くの要因が絡んでいます。

気候の変化
低気圧が近づくと頭痛が起こりやすいことが知られています。また、寒さによって頭痛が誘発される場合があります。冷房している室内で、冷気が直接頭に当たる場合などに起こることがあります。この場合は頭や首にスカーフを巻くなどして、冷気を防ぐとよいでしょう。

睡眠
寝すぎ、寝不足も片頭痛の誘因となります。

治療は?
片頭痛の治療は、薬物療法が中心となります。片頭痛のくすりには、発作治療薬と予防薬があり、それぞれ新しい有望なくすりが使われています。
水なしでも飲めるタイプもあります。